第2回 診療報酬改定に対する考え方
以前は○○セミナー、××研修会が開催され、診療報酬改定に対する「傾向と対策」の講習会が大流行でした。薬価改定と平行して診療報酬の体系が激変していますが、先生方も「今度の改定では、○○が大幅ダウンし、××がアップするらしい。改定対策が大変だ」と、右往左往の状態だと思います。ただ目先の「傾向と対策」ばかりに集中すると、対策にしたがってとった新たな展開や投資が「厚生労働省にだまされたー!」となりかねません。自分なりのしっかりした見方が必要です。
■改定の大きな流れをつかむこと
医療保険、介護保険は社会から独立して存在しているわけではありません。社会全体の経済や文化の状況に大きく左右されます。少子高齢化の進行とともに、「老人医療」のあり方が問題となり介護保険が導入されました。医療保険からの切り離しに対して医師会を中心に相当な抵抗がありました。今となっては若干の問題があっても国民全体に受入れられています。カルテの開示や情報の公開、DPC制度の導入、保険審査体制の変更、高齢者の窓口負担増、物価高騰・賃上げ対応など、まさに社会的な世相を反映して次から次に改定の波が押し寄せています。この大きな流れに対して先生はどう対応されますか?
■対応の決め手・それは地域と患者さんです
診療報酬の改定のたびに右往左往することなく、しっかりと将来を見据えた戦略的な対応が必要ですが、その要になるのが目の前にいる患者さんや地域の医療ニーズだと思います。点数評価に関係なく、その患者さんにとって必要な医療を実施する。そして必要な医療行為は赤字では継続できないですので、赤字にならないよう要求していく。医療機関の立場だけで診療報酬の要求をだされていくと、それこそ医者のエゴと受け止められます。「エゴ」は国民や患者さんから反発をかうだけです。地域の医療ニーズに応える先生の対応があれば、国民・患者さんは先生の側につきます。ただし赤字はでないようにしても丼勘定に基づく赤字は容認されません。